腰痛の多くは体を動かした際に痛みを感じます。
しかし、中には就寝時にも痛みを感じてしまい、眠れないことや途中で目が覚めて睡眠不足になることがあります。
睡眠不足になると血流が悪くなり、体の回復力も低下してしまいます。
本記事では、腰痛の痛みを悪化させない寝方や就寝時に気を付けることを解説していきます。
Contents
腰痛とは
腰痛とは腰に痛みを感じる状態のことを言いますが、急な強い痛みが特徴のギックリ腰、長期に渡り、常に痛みを感じる慢性腰痛、腰から脚にしびれや痛みが出る腰痛など、痛みの場所や症状は様々です。
腰痛の種類
腰痛は大きく2つの種類に分けられます。
特異的腰痛と非特異的腰痛です。
特異的腰痛は、レントゲン検査やMRI検査、CT検査などを行うことで原因を特定することができます。
主な原因には、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などが多くみられます。
非特異的腰痛は、検査を行っても画像上では異常がなく、原因が特定できない腰痛のことを指し、全体の8割以上は非特異的腰痛とされています。
骨盤のゆがみや悪い姿勢、疲労などからくる腰痛やストレスによる腰痛、女性特有の腰痛など原因は多岐に渡ります。
寝る姿勢と腰痛の関係性
腰痛の多くは腰に負担のかかる事をした際や長時間同じ姿勢を保持した際に痛みを感じます。
これは疲労や筋肉が動かないことで、緊張が強くなり発生する腰痛だからです。
では、寝る姿勢で痛くなるのは何故なのでしょうか?
腰に負担もかけず、長時間同じ姿勢もとっていないのに、腰痛が起きる原因は、前述した特異的腰痛と非特異的腰痛で変わります。
特異的腰痛の多くは腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など骨や軟骨の変形から起こる腰痛です。
他にも内臓系の疾患からくる腰痛など、これらの腰痛は痛みを引き起こす原因が物理的に存在しています。
ヘルニアでは椎間板から飛び出た髄核が神経を圧迫しています。
脊柱管狭窄症では骨の変形などで神経が圧迫されてしまいます。
内臓系の疾患があれば、臓器の不調が神経を通じて腰に痛みを感じさせます。
このように原因が物理的に解消されない腰痛は、安静時にも痛みを感じることが多く、寝方によって痛みが解消されることは基本的にはありません。
場合によっては、患部に負荷がかからないような寝方をすると腰痛の増悪を防ぐことができることもあります。
特異的腰痛に対しては、医師と相談のうえ、痛み止めなどを処方してもらい痛みのコントロールをすることをお勧めします。
非特異的腰痛に関しては、物理的な原因はありませんので、寝る姿勢によって痛みを軽減させることができます。
まずは寝る姿勢で起こる腰痛について、仰向け、うつ伏せ、横向きそれぞれの原因をご紹介します。
うつ伏せで痛くなる腰痛の原因は?
うつ伏せの寝方は、寝方の中で最も腰痛を引き起こしやすい寝方です。
うつ伏せで寝ていると、重力が腰にかかり腰椎が反るように沈みます。
腰椎は正常な状態でも軽く反っているため、反りが強くなると筋肉の緊張や神経の圧迫が起こり、腰痛の発症、悪化につながります。
普段から腰痛を感じている方がうつ伏せで寝ると、腰痛が楽になることがあります。
この場合、腰椎に何かしらの問題が起きている可能性があります。
整形外科や病院で検査を受けましょう。
検査で問題が無ければ、筋肉や他の部位からの影響が考えられるので、接骨院や鍼灸院で診てもらいましょう。
横向きで痛くなる腰痛の原因は?
横向きの寝方は、腰痛を軽減する寝方として最も用いられる寝方です。
本来、仰向けが体にとって理想的な態勢ですが、ギックリ腰や筋筋膜性腰痛など、筋肉や関節に炎症がある場合、横向きが最も腰椎の動きが少なく、痛みを感じにくくなります。
しかし、横向きでも腰痛を発症する場合があります。
それは痛みがある側、またはもともと不調がある側を下にして横向きに寝てしまう場合です。
横向きで寝ると片側に体重がかかるため、下側になっている腰やお尻の筋肉が硬くなってしまいます。
緊張した筋肉は血流も悪くなり、痛みの原因となります。
横向きで寝る場合は、不調や痛みを感じている方を下にしないよう注意が必要です。
仰向けで痛くなる腰痛の原因は?
先程もお伝えしたように、仰向けの寝方は体にとって最も適した寝方です。
体の圧力が均等に分散され、他の寝方に比べて腰への負担が圧倒的に少なくなります。
ただし、股関節を動かす筋肉である「腸腰筋」が硬くなると仰向けで腰痛が出る場合があります。
腸腰筋は腰椎から足の大腿骨に繋がる筋肉で、硬くなると腰を反らしてしまいます。
その場合、足を伸ばした状態で仰向けになると、腸腰筋が腰椎を引っ張り腰に負担をかけてしまいます。
普段から反り腰気味の方がさらに引っ張られてしまうので、腰痛の発症、悪化を引き起こしてしまう可能性があります。
腰痛を軽減するための寝方
腰痛は一人ひとり症状や部位が違います。
同じような症状でも原因が違えば対処法も変わりますので、一概にこの寝方をすれば楽になるとは言えません。
しかし、腰への負担を軽減することで痛みが軽減する可能性もありますので、症状別の適した寝方をご紹介します。
左右両方に痛みがある腰痛
左右差が無く腰全体に痛みが出ている腰痛は、仰向けでも横向きでも楽な寝方を選んでいただいて問題ありません。
その際、股関節と膝を少し曲げて寝ると、腰痛の軽減が期待できます。
腰全体に痛みが出ている場合、股関節にある腸腰筋の緊張が原因の可能性が高いです。
「仰向けで痛くなる腰痛の原因は?」でもお伝えしたように、腸腰筋が硬くなり腰が反らされ、腰の負担が増えることで痛みが出ます。
ですので、股関節と膝を曲げることで腸腰筋の緊張が緩和し、腰痛の軽減につながります。
実際に仰向けで膝を曲げたまま寝ると、足に力が入ってしまい、寝づらくなってしまいます。
そのような方は、厚めのクッションやタオルを丸めて膝の下に入れてあげると楽な態勢が作れます。
クッションやタオルでは、寝ている間に外れることもあるので、敷き布団の下にクッションやタオルを入れる方法も有効です。
左右どちらかに痛みがある腰痛
左右どちらかに痛みがある場合は、基本的に横向きでの寝方が腰痛の軽減に期待できます。
この腰痛は、腰の筋肉が片側だけ硬くなっていると起こるもので、背中の脊柱起立筋や腰の腰方形筋と呼ばれる筋肉が原因となっている可能性が高いです。
筋肉が原因の腰痛は痛い方を下にすると血流が悪くなり痛みの悪化にもつながります。
そのため、痛い方を上にして横になりましょう。
腰の痛みだけではなく神経痛が脚の方まで出ている場合、痛い方を下にして寝るようにしてみましょう。
お尻にある坐骨神経は、梨状筋と呼ばれる筋肉に大きく影響を受けます。
そのため、お尻の筋肉が引っ張られると神経の圧迫が強くなり、症状が悪化する可能性があります。
横向きでは上になる側の筋肉が引っ張られやすいので、痛い方を下にして筋肉が引っ張られるのを避けるようにすると、痛みが軽減する場合があります。
腰痛を軽減させる寝具
腰痛の軽減には寝方を変えることが効果的ですが、寝ている間ずっと同じ態勢でいるわけではありません。
筋肉が固まらないように寝返りをうって態勢を変えているのです。
寝返りをする中で、腰痛が悪化する寝方になってしまう場合もあります。
ずっと同じ態勢では体にも良くないので、寝返りを制限するわけにもいきません。
そこで、少しでも腰の負担を軽減できるよう、腰痛に有効な寝具を選ぶ必要があります。
まずマットレスでは、柔らかい低反発や硬い高反発があります。
それぞれ特徴があり、体の状態によって相性が変わります。
体とマットレスの相性についてお話していきます。
高反発マットレス
高反発マットレスが適している腰痛は、寝る時は問題ないが、朝起きた際に腰痛を感じるといった方です。
朝起きた際に腰痛がある方は、寝返りが少なく、寝ている間に筋肉が固まってしまうことで腰痛を引き起こしている可能性が高いです。
高反発マットレスはある程度の固さがあるため、体の沈み込みが少なく、寝返りがうちやすいので、上記の腰痛には適しています。
その反面、マットレスが体にフィットしにくいため、腰とマットレスの間に空間ができやすくなってしまいます。
仰向けで寝ていると腰痛を感じる方や、仰向けで寝て腰とマットレスの間に空間ができてしまう方は避けた方が良いでしょう。
低反発マットレス
低反発マットが適している腰痛は、仰向けになると腰痛を感じるといった方です。
高反発マットレスで仰向けになると、腰の反りや背中の丸まりが強い方は、肩や背中、骨盤などの突出した部分で体を支えることになり、体とマットレスの間に空間ができてしまいます。
背骨のアーチの部分は負担が大きくなり腰痛を引き起こしやすくなってしまいます。
低反発マットレスは、肩や背中、骨盤などの突出した部分が沈み込み、全体で体を支えることができるので、腰痛もでにくくなります。
現在、様々なメーカーで特徴のあるマットレスが販売されているので、ご自身の腰痛は寝る際に出るのか、朝起きる際に出るのかをしっかり見極め、マットレスを選ぶようにしましょう。
寝る前に行う腰痛予防
寝方や寝具による腰痛対策をお伝えしましたが、上記の手段ではあくまで対処方法で、原因が改善するわけではありません。
そこで、腰痛がでにくくなる予防法をお伝えします。
腰痛予防方法①ストレッチ
腰痛予防で最も効果的なのがストレッチです。
腰痛が起きる原因の多くは筋肉です。
筋肉の硬さが腰の負担を増幅させ、痛みを引き起こします。
ストレッチを行う事で原因となる筋肉の柔軟性を高めて、腰の負担を軽減させます。
特に寝る前に行う事で、一日の疲労で固まった筋肉も緩ませることができるので毎日、継続的に行う事が重要です。
腰痛の原因となりやすい殿筋(お尻の筋肉)と腸腰筋に対してのストレッチをご紹介します。
殿筋のストレッチ
このストレッチは椅子などに座った状態で行います。
右の殿筋を伸ばす場合
- イスに浅く座ります
- 右足首を左の太ももの上にのせます
- 背筋を伸ばしたまま上半身を前に倒します(前かがみになります)
※背中が丸くならないように注意しましょう
- お尻に痛みを感じる手前で維持します(10秒程度)
- 上記の流れを左右3セットずつ行います
腸腰筋のストレッチ
右の腸腰筋を伸ばす場合
- 膝立ちの状態になります
- 左膝が90度になるように左足を前に出します
- そのまま両手を左ももの上に乗せ、右の股関節を前に押し出すように動かします
※背中が丸くならないように注意しましょう
- この状態を10秒キープ
- 上記の流れを左右3セットずつ行います
体の状態によってはストレッチを行うと腰に痛みを感じる場合があります。
痛みを感じる場合は、痛みが出ない程度に軽めのストレッチにするなど、無理をしないよう調整してください。
腰痛予防方法②冷え対策
腰痛は体の冷えも原因となります。
足の冷え性がある方は腰痛が特に出やすい傾向にあります。
冷えに対する予防法として、まずお風呂でしっかり温まり血行を良くしましょう。
冷え性が強い方は時間が経つと冷えが戻ってきてしまう場合があります。
その場合は、少し手間ですが足湯などで寝る前に足を温める方法も有効です。
また、足首ウォーマーなどを使用し、足元を冷やさないようにすることもおすすめです。
腰痛予防方法③湿布、痛み止め
最後は寝る姿勢に関わらず痛みを感じてしまう腰痛に対しての予防法です。
予防法というよりかは対処法になってしまいますが、湿布や痛み止めを使用することで、痛み自体を抑制することができます。
しかし、これらの対処法は炎症を伴う痛みに対しての方法です。
筋肉のコリが強くなると細胞が酸欠になり痛みを発しますが、そのような痛みに対してはあまり効果を発揮しません。
要するに、筋肉のコリに湿布や痛み止めは効かないということです。
原因がはっきりしない腰痛では、炎症の有無を自信で判断するのは難しいでしょう。
湿布や痛み止めを使用してみて、痛みがほとんど変わらなければ、それ以上の効果は期待できないと考えて良いです。
その場合は、ストレッチや温めるなど、筋肉のコリを緩和させる方法を行うようしていきましょう。
腰痛は根本治療が重要
ここまで腰痛の対処法をご紹介してきました。
対処法を続けていると、徐々に痛みが軽減していく場合があります。
ある程度痛みが楽になっても、根本的な原因が残っていると腰痛が再発する可能性があります。
症状の強い腰痛や、慢性的な腰痛は医療機関を受診し根本治療を行う事が重要です。
腰痛を放置すると、痛みが慢性化するだけではなく、腰以外の負担が増え、次第に他の部位にも痛みなどの症状が出る可能性があります。
たとえ就寝時だけの腰痛でも、早期に治療を行いましょう。
ほっと鍼灸接骨院での腰痛施術をご紹介します。
ほっと鍼灸接骨院での腰痛施術
ほっと鍼灸接骨院では腰痛に対して、姿勢、骨盤のゆがみ、筋肉の緊張など様々な角度から根本原因を探していきます。
骨盤のゆがみや姿勢では骨盤調整とマッサージを組み合わせた「骨盤整体」、筋肉のコリが強い場合は「ハイボルテージ療法」という電気治療器で緩めていきます。
ストレスなど自律神経の乱れが強い場合は「鍼灸」などの施術も効果的です。
特に姿勢が悪く、猫背が強い方に対しては「猫背矯正コース」で姿勢を矯正していきます。
ほっと鍼灸接骨院の腰痛施術例
CASE1:慢性腰痛
症状 | 慢性腰痛 |
年齢 | 38歳 |
性別 | 女性 |
経過 | 長期間におよび腰痛に悩んでいた。座っているだけでも痛みが強くなる時もあった。整体で姿勢改善、骨盤のゆがみや股関節周囲の筋肉を緩めました。術後は症状の軽減がみられた。 |
治療内容 | 骨盤整体、猫背矯正 |
CASE2:ギックリ腰
症状 | ギックリ腰 |
年齢 | 37歳 |
性別 | 男性 |
経過 | 急なギックリ腰で来院。体を伸ばすことが困難で、歩行などにも痛みが伴っていた。股関節周囲の筋肉に強い緊張がみられたため、ハイボルテージ療法で緊張を取り除いた。術後から体が伸び、歩行の痛みも改善した。 |
治療内容 | 骨盤整体、ハイボルテージ療法 |
CASE3:腰椎椎間板ヘルニア
症状 | 腰椎椎間板ヘルニア |
年齢 | 73歳 |
性別 | 男性 |
経過 | 33歳で椎間板ヘルニアとなり長期間にわたり痛みが出ている状態。仰向けで寝ている際にも痛みを感じ、横向きでしか寝られなかった。殿筋(お尻の筋肉)、腸腰筋を整体とハイボルテージ療法で緩めることでヘルニアの症状が緩和した。 |
治療内容 | 骨盤整体、ハイボルテージ療法 |
まとめ
原因がはっきりしている特異的腰痛では寝る姿勢で痛みを軽減することはできません。
しかし、非特異的腰痛に関しては物理的なはっきしとした原因はありませんので、寝る姿勢を変えるだけでも痛みを軽減させることができます。
左右両方に痛みが出ている腰痛は、仰向けもしくは横向き、左右どちらかに痛みがある場合は、痛い方を上にした横向きがおすすめです。
足まで神経痛がある場合、逆に痛い方を下にすると痛みが軽減する場合もあります。
朝起きた際に痛みがある場合、寝返りをしやすくするため、高反発マットレスの寝具がおすすめです。
逆に低反発のマットレスは、猫背や反り腰が強い、姿勢の悪い方におすすめです。
腰痛の予防法として、ストレッチ、冷え性対策、湿布や痛み止めがあります。
特にストレッチや冷え性対策はできるだけ毎日行う事が重要です。
ご紹介してきた内容は、あくまで対処法、予防法です。
根本的な原因を改善することが腰痛には最も重要になります。
痛みが強い場合や腰痛が慢性化している場合、整形外科、接骨院や鍼灸院で適切な根本治療を行いましょう。